この世界の性質は、厳密にあなたの性質と一致します。
そして今、あなたの目に映っている世界は、完璧とは思えないものです。
ということは、あなたは今、自分自身を、
「完璧ではない何か」
だとみなしているということです。
この世界は、完全な無人の自動運転の世界だとお話ししました。
そこには、
「自分の意志で何かをしている行為者」
は存在しません。
人間は、源泉の意図を表現する媒体であって、その中には誰もいないのです。
ということは、あなたは、
「世界の中で何かをしている体」
ではありえません。
本当のあなたは、
「自分の意識の中に現れている、完璧性だけが存在する世界を、外側から静かに見守っている存在」
なのです。
あなたが、その本来の立ち位置にとどまっている限り、世界は完璧であり続けます。
ですが、あなたは今、自分自身のことを、そのようには認識していないはずです。
あなたはきっと、自分自身を、
「この世界の中で、さまざまなことを考え、さまざまな行為をしている個人」
だと思っているでしょう。
それが、今あなたの世界に映し出されてしまっている「完璧ではない何か」であり、それこそが、ただ一つの、
「この世界の完璧性を乱してしまう、根本的な、深い思い違い」
なのです。
歪みを生む〈私〉
実験でご確認いただいた通り、この世界は確かに、
「誰もいない、完全な無人の自動運転の世界」
です。
出来事は、映像のように、ただそれ自体で自動的に起こっているだけであり、そこには、
「それをしている人」
はいないのです。
あなたが眺めている世界では、
「源泉から自動的に送られる、思考というインプットによって」
誰もいないけれど、たくさんの出来事が、自動的に起こっています。
源泉の意図を表現する媒体である、たくさんの源泉の分身たちに、
- その自動的なインプットが届き
- それぞれのプログラムに従って、自動的に反応が現れて
あらゆることが自動的に表現されているのです。
それは、例えて言うなら、
「たくさんの種類の電化製品に電気が届き、たくさんの機能が表現されている」
ようなものです。
扇風機やエアコンが、
「私が風を送っている」
などとは思っていないように、源泉の意図を表現するための媒体である人間も、
「私が〇〇をしている」
などとは、本当はまったく思っていません。
「思っていない」というより、扇風機やエアコンと同じように、そこには、
「『そんなことを思う誰か』が最初からいない」
というだけのことなのです。
ですが、あなたは普段、常に、
「私が〇〇をしている」
と思っているはずです。
この世界の中には、そんなことを思う誰かはどこにもいないはずなのに、なぜあなたはいつも、
「私が〇〇をしている」
と思っているのでしょうか？
この〈私〉は、一体どこからやってきたのでしょうか？
思い違いが生み出した、存在するはずのない行為者
000でお話したように、この、世界という現れが映し出されている、あなたの意識の中の空間を、
「澄み切った静かな水面」
のようなものだと考えてみてください。
あなたが、その静かな水面を、外側からただ静かに見守り続けている限り、水面が揺れ動くことはありません。
その時、そこには完璧な世界が映し出され、あなたはその完璧性だけを楽しむことができます。
あなたが、そうやって眺めているのは
「世界という絵の中の、ある部分」
ではなく、
「完璧な源泉により、完璧に成された絵の全体」
です。
その絵は、一部分ではなく、
「全体として完璧」
なのであって、小さな一部分だけをじっと見ていても、その完璧性を理解することはできません。
そして、本来のあなたは、
「その絵の全体を眺めて」
その完璧性を静かに楽しんでいる存在なのです。
ですが、ある時、あなたは、その絵の中のある小さな一点に注意を向けすぎるあまり、その一点に描かれている人物になりきってしまいました。
それはまるで、映画に夢中になるあまり、映画の主人公になりきってしまうようなものです。
そして、その、あなたの「思い込み」によって、
「誰もいない、完璧な、無人の自動運転の世界」
の中に、
「自分の意志で何かをする、実際には存在しない、幻想の〈私〉」
が生み出されてしまったのです。
後ほど、「引き寄せの真理」のカテゴリーで詳しくお話ししていきますが、この幻想の〈私〉とは、一般的に「エゴ」や「自我」などと呼ばれているものです。
ですが、それらの言葉には、誤解を招くさまざまなニュアンスが付けられてしまっているため、ここでは、純粋にご理解いただけるよう、〈私〉という言葉を使ってお話ししていきます。
静かな水面が波立ってしまう原因
小さな〈私〉になりきってしまったあなたは、世界を、
「小さな〈私〉の目線」
でしか、見ることができなくなってしまいます。
当然のことながら、
「絵の中の一部分」
という立ち位置から、絵の全体を見渡すことはできません。
ですから、小さな〈私〉の目線からしか世界を見られなくなってしまっている、今のあなたには、
「全てが完璧に成されている絵の、完璧な全体」
が、すっかり見えなくなってしまっているのです。
例えば、鳥のくちばしの一部分だけを、何倍にも拡大した画像を見せられて、
「これは、大空を自由に飛び回れる、素晴らしい存在なのですよ」
と言われても、きっと、とてもそうは思えないでしょう。
ですが、鳥という全体の完璧な姿を見れば、それが、
「大空を自由に飛び回れる、素晴らしい存在であること」
は、一目瞭然です。
それとまったく同じように、〈私〉の目線という小さな穴から世界を覗き見ることしかできなくなってしまっている、今のあなたに、
「この世界が完璧であること」
が理解できないのは当然のことなのです。
あなたが、外側から静かに見守り続けている限り、水面は澄み切った静かな状態を保ち、そこに映る世界は完璧であり続けます。
ですが、もし、そこに映し出されている出来事を変えようと、
- 手を突っ込んだり
- 中に入り込んだりしてしまえば
水面は揺らぎ、水は濁って、本当は常に完璧に映し出されているはずの絵を、完璧なままに見ることができなくなってしまいます。
そして、制限された小さな〈私〉の目には、当たり前に存在している完璧性が見えず、
- 正すべきものや
- 埋め合わせるべきもの
ばかりが見えてしまうので、それを何とかしようと、さらに手を突っ込み、水面の中に入り込んで、完璧性を乱し続けてしまうのです。
あなたが、本来の自分の立ち位置を思い出し、全体を一望できる位置に戻れば、その時のあなたにとっては、
「この世界が完璧であること」
は、一目瞭然の事実になります。
ですが、〈私〉には、決して完璧な全体を見ることはできないのですから、あなたが自分を〈私〉だと思い込んでいる限り、水面が静まることはありません。
つまり、問題はこの、
「あなたの思い込みによって生み出された、幻想の、小さな〈私〉」
ただ一つだけなのです。
